膀胱と尿道(男性の場合は前立腺を含む)、および尿道括約筋で構成される下部尿路には、尿を貯める機能(蓄尿機能)と尿を排出する機能(排尿機能)があります。これらの機能が障害された状態を排尿障害といいます。正常な排尿とは、「尿意が生じてから我慢ができ、速やかに排尿が始まり、途切れず進行し、膀胱に貯まっていた尿が完全に排泄されている」という状態です。この一連の過程が乱れてしまうことによってさまざまな症状が引き起こされます。

尿のトラブル
尿のトラブル
膀胱と尿道(男性の場合は前立腺を含む)、および尿道括約筋で構成される下部尿路には、尿を貯める機能(蓄尿機能)と尿を排出する機能(排尿機能)があります。これらの機能が障害された状態を排尿障害といいます。正常な排尿とは、「尿意が生じてから我慢ができ、速やかに排尿が始まり、途切れず進行し、膀胱に貯まっていた尿が完全に排泄されている」という状態です。この一連の過程が乱れてしまうことによってさまざまな症状が引き起こされます。
前立腺肥大症は、前立腺の病気のなかで最も頻度の高い病気です。前立腺が肥大して様々な排尿障害が生じてきます。前立腺は男性特有の臓器で、膀胱の真下に接しており、尿道を取り囲んでいます。そのため前立腺が肥大すると、尿道を圧迫して排尿に関わる症状が現れます。一般的な成人男性の前立腺は、クルミぐらいの大きさ(約15㎠)と例えられますが、肥大するとみかんや卵ぐらいの大きさ(約60㎠)になります。治療は薬物療法、手術療法などが主となります。当院では生活改善や薬物療法を行いつつ、必要があれば手術療法を考慮いたします。
精液の一部を作る前立腺という臓器に何らかの炎症を起こした状態です。細菌感染が最も多い原因ですが、最近では若年者に座りすぎなどによる慢性前立腺炎も多くなってきています。排尿時の痛み、尿が近い、尿を出しづらいといった症状を伴うことがあります。検尿、エコー検査などを行い、生活改善、内服薬、点滴で治療します。
神経因性膀胱とは、膀胱を動かすように信号を送るための神経の障害に起因する膀胱障害のことです。すなわち、神経の疾患により膀胱の収縮や弛緩を制御する神経が障害を受けるために、膀胱の働きが障害される状態です。膀胱の収縮が障害された場合には、うまく尿を出せず、排尿症状を中心として様々な症状を引き起こします。原因疾患としては、糖尿病による末梢神経障害、腰部椎間板ヘルニアや脊椎管狭窄(せきついかんきょうさく)症による神経の圧迫、子宮がん・直腸がん手術による神経の損傷などがあります。
咳やくしゃみ、階段の昇降やジョギングなどの運動時に、瞬間的にお腹に力が入ることで尿が漏れる状態をいいます。分娩や加齢による骨盤底の障害、体重増加などが原因とされています。尿検査や尿流測定検査、エコー検査などを行います。骨盤臓器脱などの確認のため、診察時には患者様に砕石位(分娩の体位)をとっていただく場合があります。
血尿は文字通り、血液が尿に混入している状態のことです。目で見て血尿とわかるものを肉眼的血尿と呼び、顕微鏡検査で初めて赤血球が確認されるものを顕微鏡的血尿と呼びます。健診の試験紙で行う尿検査で確認されるものは尿潜血と呼びます。血尿の原因として多いものには、尿路結石症、尿路感染症(膀胱炎、腎盂腎炎など)、悪性腫瘍(尿路のがん)などが挙げられます。尿蛋白や、尿中に変形赤血球を認める場合には、糸球体腎炎、IgA腎症などといった腎臓内科的な疾患も念頭に置きます。尿検査や血液検査、エコー検査などの画像検査、膀胱鏡検査などで原因を検索します。
残尿とは、排尿後も膀胱内に尿が残る状態で、前立腺肥大症や神経因性膀胱による排尿障害の結果として発生します。膀胱内に残尿があると、結果的に尿を溜められる膀胱の容量が少なくなり、何回もトイレに行くようになったり、たまった尿に細菌が感染し、腎盂腎炎や急性前立腺炎を起こします。
肥満の人に多い高血圧や糖尿病は膀胱や前立腺などの排尿に関係する下腹部の骨盤周囲臓器に血流障害を引き起こし、膀胱の容量を低下させたり、前立腺肥大を促進します。膀胱のサイズが小さくなることや前立腺肥大症により頻尿の症状が見られます。
膀胱に石が溜まってしまう病気で、尿の流れが途中で中断され排尿が困難になる、特定の姿勢でしか排尿ができないようになるなどの症状が見られます。前立腺肥大症や尿道狭窄、神経因子膀胱などにより膀胱に尿が残り、腎臓から流れてきた結石が残って大きくなることで結石ができます。
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