
女性の膀胱炎(血尿、頻尿、排尿時の痛み)
女性の膀胱炎(血尿、頻尿、排尿時の痛み)
健康な女性の膀胱炎は、急性単純性膀胱炎といい、尿路感染症の一種です。尿道から侵入した菌が膀胱で感染したものです。20代後半までで約半数の女性が経験するとされております。また、生涯で全女性の80%が膀胱炎を経験すると考えられます。女性の骨盤の解剖学的な構造により膀胱になりやすいと言われています。女性は尿道が4cmほどで、男性の17cm程度と比べると短いので、膀胱感染しやすいとされています。
膀胱炎の症状は、頻尿や排尿時の痛み、血尿です。膀胱炎だけでは発熱しません。細菌が尿管を上って腎臓を介して血液に逆流すると、腎盂腎炎といって発熱します。6ヶ月に2回以上、もしくは1年に3回以上、膀胱炎にかかった場合は、反復性膀胱炎と呼ばれています。その場合、まれではあるのですが、膀胱がんが隠れていたり、間質性膀胱炎と言う難病が隠れていたりすることがあるので注意が必要です。
女性の膀胱炎の原因は大腸菌感染が75%から95%を占めるとされています。ですから膀胱炎の多くが大腸菌感染です。膀胱炎になりやすいのは、排尿を我慢したときです。これは尿道から膀胱まで菌が上昇してくるのを、排尿で洗い流していると考えられます。排尿を我慢して洗い流す間隔が空いてしまうと、菌が膀胱までたどり着いて、膀胱炎を起こしやすくなります。また、性交渉などはその刺激によって菌が膀胱まで上がりやすいとされています。妊娠中、免疫が低下するなど考えられますので膀胱炎にかかりやすく、閉経後も膣内の細菌環境が変わりますので、雑菌が膀胱内に入りやすくなって膀胱炎になるとされています。
膀胱炎になってしまったらどうしたら良いでしょうか水をこまめに排尿し、膀胱の中の雑菌を洗い流してください。3日経っても症状改善し、逆に熱が出るなど症状なってしまった場合はすぐに泌尿器科を受診してください。閉経前の女性と閉経後の女性でホルモンや膣内細菌などの環境が変わりますので、治療薬が若干異なりますが、多くは閉経前の女性は抗生剤を3日間程度、閉経後の女性は7日間程度の場合が多いです。水をたくさん飲んでたくさん排尿するというのは効果が乏しいとされており、また市販薬も同様に効果は疑問視されております。膀胱炎は仕事や生活に支障をきたすことが多く、早めの泌尿器科受診で抗生剤治療で生活の質を保つことが重要であると考えます。
膀胱炎の予防はあるでしょうか?膀胱炎を確実にする方法はありません。その中でもなるべく膀胱炎にならないように心がけていただくことを羅列してみますと、排尿を我慢するような状態をなるべく避けるのが大切です。性交渉後の膀胱炎を繰り返されている方は、尿道に菌がいる可能性がありますから、性交渉後すぐに排尿して菌を洗い流すのが必要と考えられます。また骨盤周囲を清潔にすること、体を冷やさないこと、睡眠を十分にとり、ストレスを溜めないことが大切です。
女性は骨盤の構造上膀胱炎になりやすいです。さらに排尿を我慢したり、性交渉等の刺激や環境の変化によって膀胱炎にかかりやすくなります。膀胱炎で保存的に治療、つまりクリニックや病院に行かずにご自宅で経過を見て、効果のない場合や、仕事や生活に支障をきたさず早く治したい場合はすぐ泌尿器科を受診してください。
尿路に起こる細菌感染症の一つです。腎臓内にある尿の通り道を腎盂(じんう)といいますが、そこから腎臓に大腸菌などの細菌が逆流することで感染を起こします。膀胱炎は発熱しませんが、腎盂腎炎は発熱することが大きな違いです。急な発熱、悪寒、吐き気、脇腹や腰の痛みなどの症状が出ます。抗生物質や抗菌薬で治療し、標準治療は1〜2週間の抗生剤治療となります。治療が遅れると入院が必要なこともあるので早期の治療が大切です。
女性は、尿道長が短く、膣に細菌が定着しやすいことから、大腸菌などの細菌が尿道口から侵入しやすいため、男性に比べ尿路感染症が起こりやすいとされています。月経で衛生管理が一時的に難しいことや妊娠期に尿の流れが悪くなる(子宮が大きくなることで尿管を圧迫する)ことも要因として考えられています。
予防はストレスや疲れをためないことなどです。お風呂やシャワーなどで陰部を常に清潔に保つことも大切です。排便後にも陰部の洗浄を行うと効果的です。細菌が尿道に入り込んだ場合、腎臓まで上ってこないようにすることも大切です。対策として、水分を適切にとり膀胱に尿をためないようにしましょう。
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